浜カレー【¥1680】 しびれ鶏カレー【¥1200】 牡蠣とひき肉のカレー【¥1500】
ひき肉とキノコのカレー【¥1100】 チーズとポークのカレー【¥1180】 野菜とポークのカレー【¥1550】



やっと・・・・。やっと僕はここまで来た。
まさか、本当にカレー屋を札幌に出すことが出来るだなんてあの時は夢にも思わなかった。
あの時の事は今でも鮮明に覚えている。この先も忘れることはないだろう・・・・・。



今から五年前(平成23年)の三月末。僕は生まれ故郷である積丹町美国町にうに丼屋、田村岩太郎商店をひっそりとオープンさせた。
オープン初日は誰一人お客さんは来なかった。これが今となっては岩太郎商店の語り草となっているオープン初日ノーゲスト伝説である。
オープンした事を町民に周知していないのだから客が来ないのは当たり前と言えば当たり前だ。
嫌な予感はしていたが、しばらくしてお店がオープンしたとみなが気づき始めたら徐々にお客さんは来てくれるだろう。とその時は思っていた。
がしかし、オープンしてしばらくたってもいっこうにお客さんが来る気配はない。
嫌な予感が現実になった。
一か月、二か月経ってもお客さんなんて来てくれやしなかった。
手持ちのお金も30万を切ってこのままではお店を始めて半年持たずに潰れることを覚悟した。

6月の末には積丹町美国町で味覚祭りが開催される。
ここで出店すれば当面の運転資金は確保できると踏んで僕は本業の岩太郎商店を閉めて味覚祭りへの出店を決めた。
カレーでの出店だった。

しかし出店するにもお金がかかる。この時にはもうすでに食材を仕入れるお金すら無かった僕は材料費はすべて友達に建て替えてもらうことで何とか出店したのだ。



目指すは1,000食で60万の売り上げを見込んでいた。
聞くところによると味覚祭りはお客さんでごった返し、前の年にはどのお店も早々に売るものが無くなってしまうほどの大盛況で、皆儲かったという話だった。
自然と期待が高まった。
ここをうまく乗り切ればしばらくはお店を維持できる。僕は半信半疑ながら一縷の望みをかけた。
1,000食のカレーを作るのは想像以上に困難を極めた。
作業は深夜をまわって朝になっても続いた。みんな不眠不休でカレーを作った。
もうすぐ祭りが始まるというのにカレーのルゥが足りない。大急ぎで近隣のスーパーやコンビニでカレーというカレーは全部買い占めたがそれでもルゥが足りず、水っぽいシャバシャバのカレーで営業するしかなかった。

また 出汁に使ったエビの髭を切る時間がなくて長い髭をつけたまま、そのエビを具材に使うしかなかった。
今思うと本当に商売を舐めているとしかいいようがないほど、しょうもないカレーを売ってしまったものだ。
それでも売らなければならない。売らなければ岩太郎商店の未来がないのだから・・・・
売らなければ岩太郎商店が潰れてしまうのだから僕らはみな必死だった。
当時付き合っていた彼女、それから僕の妹に頼み込み売り子をやってもらった。しかも、わざわざ浴衣まで着せてという気合の入れようだった。
味覚祭りが始まって飛ぶように売れるのかと思いきひや、事前に聞いていたバカ売れするという話はどこに行ってしまったのかと思うほど全然売れない。

それを見かねたのか友達のお母さんが1人で6食も買ってくれた。しかし、シャバシャバで水っぽいうえにエビの髭も切っていない食べずらいカレーに喜んでくれるわけがなかった。
もちろん大激怒。
泣きっ面に蜂とはまさにこのことだった。



結果は散々で何食売ったのかも覚えていない。
ただ、60万の売り上げを当てにしていたのが実際には20万しかなく、最終的な収支はたったのプラス3,000円だった。
みんなが無給で働いてくれたから良かったものの、本来なら大赤字だった。
結果的に大激怒した友達のお母さんが買ってくれた分がプラスになっただけだった。

岩太郎商店の店長たけし君、それから地元の友達、後輩、妹、当時の彼女、みんなで必死に夜通し頑張った結果がたったの3,000円・・・・。
僕は顔では必死に平静を装い自虐的な笑いに変えてみせていたが、心の中では泣いていた。


味覚祭りのフィナーレは花火大会。

僕は彼女と一緒に夜空に打ちあがる花火を見つめていた。
隣にいる彼女はそんな僕の手を強く握った。諦めないで頑張っていこう、どんなことがあってもついていくよという思いが伝わってきた。
しかし、僕はその手を握り返してあげることが出来なかった。


ただただ黙って夜空を見つめるのが精いっぱいだった。
打ちあがる花火を見つめていたわけじゃない。
僕はこみ上げるものがあふれ出ないように必死に夜空を見つめていた。
今から5年前(平成23年)の夏のお話。

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